愛を知る日まで
生まれた時から、俺の普通は普通じゃないから。
だれもが当たり前に知ってる事や持っているモノが俺には無い。
それで構わないとずっと思っていたんだけど
「お祭り、真陽と行ってみたいな。」
真陽と居ると俺はなんだかワガママになる気がする。
今まで興味の無かった事やどうでも良かった事が気になり出して、どうしても自分の目で確かめたくなる。もちろん、真陽と一緒に。
…分かってる、それが真陽を困らせる事ぐらい。けど。
「…行こうか?お祭り。」
きっと真陽は、俺の願いを叶えてくれるってどこかで信じて甘えてる自分がいる。
その一言が、その約束が
彼女の重い枷になり
俺の大きな希望になる。
分かってる。優しく笑う表情のその奥に罪に苦しむ貴女が居ること。
けれど、俺は信じてる。
その更に奥には、掛け値なしに俺の手を取る歓びを称えた貴女が居ることを。
この約束が真陽に罪悪感以外の感情を与えていることを。
「真陽、大好きー!」
「重いっ!重いってば柊くん!!」
その笑顔が、嘘じゃないって
俺は信じてる。