愛を知る日まで





…なんだ、これ?




最初は、悪戯かと思った。
だって。



『ごめんなさい。熱がでで行けまくなりましt。本当にごめmんなさい』



こんなメール、真陽が打ったなんて思えるはずが無くて。


真陽のメールはいつだってその性格が窺えるくらい律儀で丁寧で。


けれど、そのメールは間違いなく真陽のアドレスから送られてきたもので。



それを見た俺の頭はひたすらに混乱していた。



--なんだよ、これ…?


行けなくなったって…お祭りに?

なんで?熱?真陽、病気なのか?



事態を把握した瞬間、

浮かれていた気分は一瞬で消え去った。



突然、不安と妙な焦燥が沸き上がってきて

俺はここが電車の中だと云うことも忘れて、真陽に電話をかけようとした。



けれど。


この、短い誤字だらけのメールが何を意味するのか。

あの律儀な真陽がこんなメールを送らざるを得なかった状況。


それを考えて俺は電話する事を諦めて、携帯を一度閉じた。






< 112 / 227 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop