愛を知る日まで
電話の代わりにメールを返信しようとした。
けれど、俺の胸に渦巻くものが溢れすぎて。
『真陽、大丈夫?
具合悪いのか?熱高いのか?苦しくないか?
すごく心配だよ。すごくすごく心配。
側に居てやりたい。看病してやりたい。
今すぐ飛んでいって真陽の側にいたい。
真陽に会いたい。会いたい。
会いに行っちゃダメ?
少しだけでいいから顔が見たい。
顔見なきゃ安心出来ないよ。
真陽に会いたい。
お祭り、行きたかった。
縁結びの神様がいるお祭りだったんだって。
真陽と行きたかった。』
綴れば綴るほど気持ちは押さえきれなくなって
欲望が、子供みたいな我儘が洪水みたいに溢れ出す。
俺は汗でびっしょりの手で携帯を握りしめ、しばらく目を閉じると一つ息を大きく吐き出した。
そして、書いた文章を全消去すると
『分かった。お大事に。』
とだけ書いたメールを送り、そのまま次の駅で電車を降りた。
目的の駅まであと3つだったその駅に、微かに祭り囃子が聴こえたのは空耳だったのか。
一回だけそちらの方を振り返ると俺は
ただ、真陽の身を案じる焦燥と不安を抱きしめて、逆方向の電車へと乗り込んだ。