愛を知る日まで
俺たちには重ねた想いしかない
家に戻った俺は部屋で一人ゲームをしていた。
何か気をまぎらわせていないと色々考えてしまいそうで。
帰る途中で買った新作のソフトに没頭して必死に指を動かした。
「…思ったより難しいな…あっ、ちきしょう、またやられた。」
PSPの小さな画面を集中して見つめ目を逸らさないようにする。
「んだよ、難し過ぎるだろコレ…」
けれどやがて
ゲーム機は静かに俺の手から滑り落ちていき
画面は曇った視界で見えなくなる。
ゴトンと鈍い音がして床に落ちたゲーム機からは軽快なBGMが虚しく流れている。
「……真陽……」
俺はゲームの抜け落ちた空っぽの手で、そのまま顔を覆った。