愛を知る日まで




今までも、なかなか会えないことや連絡のとれない事はあったけど

今度の離ればなれは俺に強烈な距離感を突き付けた。


よく結婚式の教会で神父が『病めるときも健やかなるときも…』なんて言うけど、つまりはそういう事なんだ。

元気なときだけじゃない、苦しいときに傍で支えあってこそ恋人同士なんだ。



なのに、俺にはそれが出来ない。

真陽に何かあっても俺は蚊帳の外だ。



だって俺は

真陽の恋人じゃ、無いから。


苦しんでる真陽の傍に居てやれる事が出来るのは、俺じゃなく―…






「…っ、くっ…」


涙がポタポタと床に落ちた。




無力だ。あまりにも。

俺は真陽のなんなんだ。


あんなに身体を重ねて、この腕に抱いて

大好きだと大切だと想いを伝えあっても


結局、真実はこれだ。




俺は真陽の何者でもない。







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