愛を知る日まで
連絡をとる事も叶わない俺は情けない事に、真陽の病状をぬくもり園のスタッフの世間話から知ることになる。
「真陽ちゃん、大丈夫ですかね。」
「園長が言うにはずいぶん熱が高いらしいわよ。婚約者さんから電話がきたくらいだから。」
「それってろくに起き上がれ無いくらいキツいって事ですかね。結構重症ですね。」
「夏風邪は拗らせると重症化するからね、恐いのよ。」
そんな会話を背中で聞きながら、俺は眉を潜める。
…やっぱり熱が高いんだ。
あのメールを見たときからそうじゃ無いかとは思っていたけど。
夏風邪って拗らせたらどうなるんだ?ろくに起き上がれ無いってよっぽど酷いんじゃないか?
入院とかになっちゃったらどうしよう。
いやだ、考えたくない。でも、もしも。もしも真陽が死んじゃったりしたらどうしよう。俺、生きてけないよ。
心配で心配で。けど、俺には何も出来なくて。悔しくて虚しくて涙が滲む。
俺は情けない泣き顔を誰にも見られないように、顔を伏せながら慌ててスタッフルームを出た。