愛を知る日まで
独り占めしたい。いつだって傍にいたい。恋人と呼びたい。俺だけを見て欲しい。真陽の全部が、欲しい。
苦しくて、胸が張り裂けそうで、切なくて切なくて。
けれど。
彼女を失う事は、もっと出来なくて。
「…俺、今のままでいいから。我慢するから。」
嗚咽を堪えながら伝えた自分の吐息が熱く感じた。
「…ねえ、真陽。俺のコト、好き?」
「…好きだよ。大好き。」
「…うん。ならいいや。」
たった二文字の、その言葉だけが俺の心を救ってくれる。
―――好き。
俺たちにはそれしかない。
沢山の約束と祝福を抱えている婚約者と違って
俺たちを繋いでるものは、それしかないのだから。