愛を知る日まで
独占欲にリボンを掛けて
「…真陽、ちょっと痩せたな。」
あれから、久しぶりに抱いた身体を撫でながら暗闇で呟いた。
「そう?」
「うん。ちゃんと飯食ってるか?」
「食べてるよ。それに足太いの気になってたからちょっと痩せて嬉しいかも。」
俺の心配をはぐらかすかのように笑って言った真陽に
「バカ。痩せたのってこないだの風邪が原因だろ?そんなんで喜んでどうするんだよ。」
俺はちょっとムッとしながら彼女の鼻をムギュと掴んでやった。
「いたたたた。柊くんイタイ~。」
「本当に心配したんだからな。死んじゃったらどうしようって思ったんだから。」
鼻を掴んだ手を離し抱きしめるように首筋に顔をうずめて言うと、真陽はそのまま俺の背中を抱きしめ返してくれた。
「ゴメンね、心配かけたね。」
「そうだよ、スゴくスゴく心配した。真陽のバカ。ちんちくりん。」
「ゴメンね。心配してくれてありがとうね。」
「バカ。真陽のバカ。バカ。」
「うん、ゴメンね。」
「…バカ。」
腕の中にあるぬくもりに、今ここに居てくれる安堵を心から感じて、胸がつまって言葉が出てこない。
変わりに熱く滲んでくる涙を必死に堪えていると、真陽がうずめたままの俺の頭を優しく撫でてくれて、俺はこの苦しい気持ちが収まるまでずっとその手を受け入れた。