愛を知る日まで
随分色々と籠にいれた商品を、レジに持っていき会計をする。
125円…280円…と値段を読み上げながら店員がピッピッとバーコードを打っていく。
「498円、」
「あ、それ。」
店員がピンクの箱を袋に入れようとしたのを止めて、俺は言った。
「それ、リボン付けてもらえませんか?」
店員も、隣の真陽もキョトンとした顔をする。
「俺知ってるよ。プレゼントにはリボンだろ?」
そう言った俺に、真陽は1回瞬きをした後
「ふふっ、そうだよね。」
と、俺のシャツの裾をキュッと掴んで笑った。
「ギフト用のしかありませんが」と言いながら、コンビニの店員はリボンの着いたシールを箱に貼ってくれた。
帰り道で、俺はそれを真陽に手渡す。
「はい、プレゼント。」
「どうもありがとう。」
「嬉しい?」
「すっごく、嬉しい。もったいなくて食べられないかも。」
ピンクの箱をぎゅっと胸に抱えながら言った真陽の赤らめた笑顔を見て、俺は自分の胸があったかくなっていくのを感じた。
俺が喜ばせたんだ。
俺でも真陽を笑顔に出来るんだ。
初めて感じる充足感だった。
手を繋ぎながら、隣のご機嫌そうな真陽の顔を眺めて
---この笑顔は、俺が作ったんだ。
俺の、俺だけの、笑顔だ。
どうしようもなくワガママだった俺の独占欲が、少しだけ満たされた気がした。