愛を知る日まで

この場所は嫌いじゃないのに










「柊、サッカーやろうぜー」

「しゅうくん、一緒に遊ぼうよー」



9月のある土曜日。

この日、ぬくもり園ではちっちゃいガキンチョから高校受験を控えた中学生まで、定員めいっぱいの子供を預かっていた。


「うるせーな。今、中学生の奴等の勉強見てんだからダメだっつっただろ。」


図書室、と銘打ってある幾つかの本棚とテーブルの並んだ小さな部屋で、俺は中学生のボウズどもの勉強を見てやっていた。


この中坊どもがまたバカな奴で、俺が見てやらねえとろくに受験勉強もしない。


あまりのバカさに見かねて朝飯後から付きっきりで見てやってると云うのに、学校が休みで暇をもて余したチビ達がさっきからこうして図書室までチョロチョロと顔を出しに来る。


「柊、いいよチビ達と遊んできて。俺達ちゃんとやるから。」


「嘘つけ。俺がいなくなったらお前ら絶対サボるだろ。」


勉強に飽きてきた中坊が虎視眈々と俺の目を逃れようとしてる。バレバレだっつーの。


俺は手元にあったプラスチックの定規でペシリとソイツの頭を叩いた。




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