愛を知る日まで






「おい、俺、もう帰んないとヤバいんだけど。」



昼間際になって、人手が足りないからと昼食の準備に駆り出された俺は食堂に掛かってる時計を見上げながら焦って言った。


時計の針はもう12時をまわっている。


今日は午後から真陽が出勤するから、俺のシフトは午前だけだ。これ以上グズグズしてたらかち合ってしまう。


真陽に会えるのは嬉しいけど、でも実際ぬくもり園で顔を合わせるとなると余りにも周囲の視線が痛い。俺はともかく真陽がそんな目で見られるのは嫌だ。


「あ、本当だ。もうこんな時間。」


三島リエが忙しそうに食堂のテーブルに子供たちの食事をセットしながら言う。


「じゃあ柊くん、悪いけどあがる前に子供たち呼んで貰える?」


「分かった。」


手の離せない三島リエの代わりに、俺は食堂を出て遊戯室や園庭の子供たちに声を掛けてまわった。





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