愛を知る日まで
まとわりつくチビどもに手を洗わせ、いつまでも遊ぶのをやめないガキを席につかせる。
そうこうしてるうちに、また時間は過ぎていく。
「これで全員揃ったか?」
「ひーふーみー…あれ、二人足りない。」
「はぁ!?」
確かに全員集めた筈なのにと眉間にシワを寄せてると、どういうワケか園庭の方からガキの笑い声がした。
見ると、さっき呼んだ筈の小学生のボウズ二人が園庭に戻ってまたサッカーをやっている。
「あんのクソガキ、逃げやがったな…!」
俺は食堂の窓から身を乗り出して、園庭に向かって叫んだ。
「テメーら、あと30秒以内にこねーと飯抜きだからな!!」
俺の剣幕にサッカーをしてたガキ二人が慌てて園舎に駆け込んでいった。
そのやり取りを見ていた三島リエと席に着いていたガキ達がクスクスと笑う。
「しゅうくん、おもしろーい。」
一番チビのリナが笑い声をあげながら言った。
「面白くねえよ。どいつもこいつも手ぇ掛けやがって。」
そう言ってリナの頭をクシャクシャと撫でると、リナは嬉しそうにますます声をあげて笑った。
ホントに、ガキってのは手が掛かる。けど。
こんな風に、ここに来たときは暗い顔してたガキがゲラゲラ笑う姿は、俺は嫌いじゃない。
そう思って目を細めた瞬間。
俺の視界の隅っこに、信じられないものが飛び込んできた。