愛を知る日まで





園庭越しに見える園舎の玄関。



園門からそこに向かって寄り添うように歩く男女。




それは、間違いなく俺がこの世で一番見たくない光景。




「…柊くん?どうしたの?」



固まったように、窓の外を見続ける俺に気付いて三島リエが声を掛けてきた。


けど、俺にそれに答える余裕なんか無い。



---なんで…なんで…!!


なんで!よりによってここに連れて来るんだよ!!


…俺がいるかもしれないのに、なんでこんな所に二人で来るんだよ!!




握った拳が震える。


俺が世界一好きな女と世界一ムカつく男。

その二人の視線が絡み合い、手と腕を触れさせながら何かを話してる。


他の誰も入り込めないような独特の空気を纏わせながら。






< 152 / 227 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop