愛を知る日まで
園庭越しに見える園舎の玄関。
園門からそこに向かって寄り添うように歩く男女。
それは、間違いなく俺がこの世で一番見たくない光景。
「…柊くん?どうしたの?」
固まったように、窓の外を見続ける俺に気付いて三島リエが声を掛けてきた。
けど、俺にそれに答える余裕なんか無い。
---なんで…なんで…!!
なんで!よりによってここに連れて来るんだよ!!
…俺がいるかもしれないのに、なんでこんな所に二人で来るんだよ!!
握った拳が震える。
俺が世界一好きな女と世界一ムカつく男。
その二人の視線が絡み合い、手と腕を触れさせながら何かを話してる。
他の誰も入り込めないような独特の空気を纏わせながら。