愛を知る日まで
ヅカヅカと足音が聞こえそうなほど怒りを滲ませながら歩いてると
…最悪なコトに向こうから来る真陽と鉢合わせてしまった。
今だけは見たくなかった。真陽の顔なんか。
そして、嫉妬と情けなさでいっぱいの自分の顔を見せたくもなかった。
なのに
真陽は、無視して通りすぎようとした俺の腕を掴んで呼び止めた。
「あ…!柊くん、待って!あの…っ!」
-―-なんで…っ
「バカ!今、話し掛けんなよ!」
思わずカッとなって怒鳴り付けてしまった。
その迂闊さが、俺に向けた罪悪感に滲んだ瞳が、俺の感情を逆撫でした。
ハッとした表情の真陽の顔から目を背け、俺は再び玄関へ向かって早足で歩いて行った。
きっと、泣きそうな顔で俺を見ているだろう真陽の視線を背中に感じながら。