愛を知る日まで



ドキドキと心臓が脈打って顔が赤くなっていくのが自分でも分かる。


彼女の中の俺が『柊くん』じゃない

『柊』に変わった事実に。



「…なんだよ、それ…。…いきなり反則…」


…嬉しい。なんだこれ。たかが呼び捨てになったくらいで。すっげ嬉しい。


けど、なんかちょっと恥ずかしくてこそばゆい。


「イヤ?」


小首を傾げてそう聞く真陽は、静かに微笑んでるだけなのにとんでもなく魔性の匂いがする。


「…全然、イヤじゃない…」


なんなんだよ。今日の真陽は。全然敵わない。


一緒に居られないのに、婚約者の所に帰っちゃうのに。


大丈夫だって。もう充分だって。そんな気持ちになっちゃう自分の気持ちに、俺はもうお手上げだった。








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