愛を知る日まで



コイツ、昔っからなんとなく俺と真陽のコト窺ってる気がしてイヤなんだよな。


何がしたいんだか分かんねーケド、探られていい気分はしないもんだ。



口をつぐんだまま何か言いたげな三島リエを放って、帰ろうとドアを出ようとした瞬間。


「しゅ、柊くんってさぁ、真陽ちゃんのコト好きだよね!?」


更にとんでもない事をコイツは言い出した。


ハッキリ言って俺はムカついた。


他人には話せない大切で秘密の関係を壊れないようにそっと育んでいるのに、それを無神経に暴かれたようで。


第一、だったらなんだって言うんだよ。


コイツの頼みを断った腹いせに雉さんに告げ口でもしようってのか。


バッカみてえ。


「俺が誰を好きだろうか嫌いだろうかアンタには関係ねーだろ。」


ムカッ腹が立つ。堂々と『そうだよ、俺は真陽が好きだよ』と言えない現状にも。


喧嘩腰になった俺につられたのか、三島リエも今度は強気な様子を見せて言い返す。


「関係無いコトないでしょ!また問題でも起こされたらこっちだって迷惑なんだよね!」

「はぁ?問題って何だよ?キスのコトか?真陽とシフト合わねーのにもう起きようがねーだろ。」


「…ほら!“真陽”なんて呼び捨てにしてる!普段は“櫻井さん”って呼んでるクセに!」


小学生の揚げ足とりみたいな三島リエの言葉に、俺は眠気も忘れて本気で腹が立った。





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