愛を知る日まで
「真陽ちゃんなんて、婚約者がいるのに…!なんで真陽ちゃんなの!?そんなのダメじゃん、誰も幸せになれないじゃん!!」
グスグスと鼻を啜りながら言ったクセに、その台詞は俺の嫌な所を的確に責めやがった。
「…しょうがねえだろ…婚約者がいようと幸せになれなかろうと、ホレちまったもんは。」
不貞腐れて言い返す俺に、三島リエは更に追い討ちをかける。
「どこがいいの…?そんなにまでして、どうして真陽ちゃんを好きでいるの?絶対、絶対他の恋した方が柊くんの為だよ!?」
俺は、ずっとドアに掛けていた手を放すと一回目を伏せてから正面を向いた。
「…言ったってアンタにゃ分かんねえよ。他の恋だとか幸せだとか、そんなもんと引換に出来るような気持ちじゃないんだ。」
俺の真陽への想いは、そんな簡単なもんじゃない。例え自分の命と引換にしたって敵わないくらい強くて大切でただひとつのものなんだ。
真剣に答えた俺の言葉に、三島リエはまた目にいっぱい涙を溜めて顔を覆って泣き出すと
「なんでぇ…?…なんで真陽ちゃんがそんなにいいのよぉ…?私じゃどうしてダメなの…?」
くぐもった声でそう言った。