愛を知る日まで
「そうだ、あったかい牛乳飲むか?」
急に俺がそう思い付いたのは、モゾモゾと腕の中で身を擦り寄せてきた真陽が子猫みたいに見えたから。
猫にはやっぱ牛乳だろ。あとちんちくりんにも。
「身体あったまるぞ。それに背もおっぱいも大きくなるから飲め。」
ちょっと意地悪を織り交ぜて言うと真陽は腕の中から俺を見上げてぷぅと頬を膨らまし
「また胸のコト言う!柊の意地悪、えっち!」
と可愛らしく怒ってみせた。
その姿にヒヒヒと悪戯っぽく笑いながら起き上がり、俺はざっくりと服を着るとキッチンへ向かった。キッチンっつってもワンルームだからここから繋がってるんだけど。
冷蔵庫から牛乳のパックを取り出し鍋に移してると
「柊も飲んだ方がいいよー。大きくなれるよー。」
と、ひとり残された布団の上から真陽が俺に向かって言った。
思わぬ反撃に俺も唇を尖らせ不貞腐れてみせる。
「俺は真陽と違ってチビじゃねーの!まだ成長中なの!」
「じゃあ私だって成長中だもーん。」
真陽はそっぽを向きながらそう言うと、モゾモゾと布団の中に潜っていってしまった。