愛を知る日まで
湯気をたてる温かいカップをふたつ持って、真陽が潜り込んでる布団へと戻った。
「ほら、熱いから気をつけろよ。」
俺がそう言うと真陽はムックリと布団から身体を起こし「ありがとう」と言って嬉しそうにカップを受け取った。
「美味しい。」
カップの中身をそっと啜って、幸せそうにそう呟いた彼女に、俺の顔も綻ぶ。
「やっぱちんちくりんと猫には牛乳が似合うな。」
熱い牛乳を啜りながら言った台詞の『ちんちくりん』の部分だけは丸っと無視して、真陽は
「ホットミルク飲んでるとなんだか猫ちゃんの気分になるよね。」
と、カップの中の牛乳を細めた目で見つめながら言った。
俺は観念して話題をちんちくりんから猫に移すことにした。
「…そう言えば俺、猫みたいだって昔はよく言われたな。野良猫だって。」
そう言った俺に真陽は一瞬目を丸くした後
「あ、でも分かる。」
と頷いた。