愛を知る日まで
二人のカップが空になった頃、真陽が時計を見つめながら小さな声でいう。
「そろそろ…帰らなくちゃ。」
自分の気持ちが沈んでいくのを感じながら、俺も小さな声で呟く。
「…帰る…って、なんだろうな…」
「え?」
「…真陽の帰る場所がここだったら良かったのに。ただいまって、毎日俺の所へ帰ってくればいいのに。」
自然に出た言葉だった。
自分でも気付かないうちに育っていた気持ちだった。
だから、口に出して初めて気付く。
ああ、俺。
真陽の人生が欲しいんだ、と。