愛を知る日まで
失ったガキと持ってない俺と
彰のつまらない争いに力を貸してしまったせいで、それから俺に喧嘩を吹っ掛けて来る奴が俄然増えてしまった。
とんだとばっちりを俺は苦々しく思った。
こんなめんどくさい状況、2発ヤっただけじゃ割に合わねえ。
チッと舌打ちをしながら俺は昼間殴られて未だ痛む傷を冷やしに夜中の洗面所へ向かった。
時間はもう0時をまわってる。
消灯が過ぎて真っ暗な洗面所の電気をつけ、タオルを水で冷やしながら、ふと顔をあげると…鏡越しにいきなり誰かと目が合った。
「うわぁっ!」
誰もいないと思っていた薄暗い洗面所で、予想外の人の気配に俺は思わず声をあげる。
振り向いた先にいたのは見たとこまだ10歳にもならないガキだった。
「あっ、ご、ごめんなさい。」
驚いて声をあげた俺にビビったのかやけにビクついている。
そして、その眼は一目で分かるほど泣き腫らして真っ赤だった。