愛を知る日まで
―――俺の誇れる事
考えた時に、答えは一つしか浮かばなかった。
『柊くん、子供の扱いがすっごく上手じゃん。あんなに子供のコト分かってあげられる人そうそういないよ!それって活かさなきゃもったいないよ。』
夏の夜に、真陽が教えてくれた事だった。
…ああ、俺は知らないうちに誇りまであの人に教えてもらってたんだな、とクスリと笑みが零れる。
「…園長…俺、保育士になりたい。保育士になって…俺みたいな空っぽなガキに沢山の事を教えてやれる大人になりたい。」
真陽が俺にそうしてくれたように。
「俺には多分それしかない…。
それに、沢山の人を不幸にする分、俺はそれ以上に沢山のガキを笑顔にしてやりたい。」
「大変な事よ。」
「分かってる。」
強く頷いた俺を見て、雉さんが机の引き出しから一枚のパンフレットを出した。
「隣県にある私の知り合いの児童養護施設よ。ここと違って公的な所だから三年間の経験実習が詰めるわ。今、緊急にスタッフを募集してるの」
雉さんの言葉に、俺は目を丸くした。
「柊くん。一人前になるチャンスよ。
覚悟があるのなら、飛び発ちなさい。」