愛を知る日まで
都内某所にあるH児童養護施設。
そこはまさに地獄であり、俺の故郷でもあった。
生まれて数日で棄てられた俺、柏原柊(かしわばら しゅう)は、自分の選択の余地など無くこの地獄へと投げ込まれた。
物心着いた時にはもう、恐怖と憎しみが幼い体に刻み込まれていた。
まだ幼すぎて理解出来ない俺に容赦無く怒号と暴力と嘲りが襲ってくる。
もはや日常と化したそれが『虐待』と言うもので、それは異常な事なのだと知ったのは、俺が小学生になる頃だった。