愛を知る日まで




高校生活ってのは、中学に比べるとだいぶ楽な気がした。


皆成長して他人のプライベートを嘲るような真似をしなくなったからかも知れない。


それと、もうひとつ。


そこそこ偏差値の高い学校には馬鹿が少ないからだ。


実を言うと俺は頭は悪くない。


学校や教師は嫌いだったけど、一人で出来る勉強は嫌いじゃなかった。


内申書は最悪でも本気を出した俺の成績なら区で1,2を争う進学校に受かるのは容易かった。


そんなワケで、成績がモノを云うこの学校には俺を蔑むヤツも喧嘩を売ってくる馬鹿も居なくてなかなか快適だった。




ただ、まあ。


独りなのは相変わらずだ。


今更オトモダチを作ろうとも思わなかったし、あまり馴れ合いも無い空間だったのもある。


それでも別に困ることは何一つなかったけど。



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