愛を知る日まで
「ねえ、キミって凄く強いんだって?」
鬱々とした気分で過ごしていた俺にある日、学校で声を掛けて来た女がいた。
制服のタイの色が同じなところを見るとどうやら同学年らしいが俺はその女と面識が無かった。
「噂聞いたよ。街でクスリ売ってるチンピラやっつけたって。この学校でそういうのって珍しいよね。」
相変わらずイラつきを燻らせていた俺は当然そんな女は相手にしなかったが、ソイツは嬉々として勝手に喋り続けた。そして
「ねえキミにお願いがあるんだ。ちょっとさ痛め付けて欲しい奴がいるの。」
女の言い出した醜悪な頼みに、俺の不機嫌はピークに達した。
誰かを傷付けるのに自分の手は汚さず赤の他人の俺にやらせようってか。クソが。
「ちょっ、そんな恐い顔しないでよー。もちろんタダとは言わないからさ!」
強く睨み付けた俺に女はビビりながらも退かずに交渉を持ち掛けた。
「2万でどう?相手は一人だから悪くない話でしょ?」
たかだか2万で最低な行為の片棒かつぎか。俺も舐められたもんだな。
---馬鹿馬鹿しい。だったら。
俺は女の腕をぐいと掴んで引き寄せると耳元で言ってやった。
「金はいらねえ。その代わりにヤらせろ。今すぐだ。」
だったらとことんまで、堕ちてやる。