愛を知る日まで
午後の授業をサボって、俺とその女は学校の屋上でセックスした。
「キミって、最低…っ」
座った俺に跨がって腰を上下させながら女は喘ぎ声のように俺を罵った。
「最低な頼み事を聞いてやるんだ、てめえもそれなりに汚れやがれ。」
忌々しげに腰を突き上げると、女は大きな吐息を出して俺にしがみついてきた。
なんだよ、この女スキモノじゃねえか。汚すどころか悦ばしてどうするんだよ。
目論見の外れた俺は舌打ちをして、さっさと終わらせるべく女の「だめぇ」と言う甘えた声を無視して激しく腰を動かした。
---本当に最低な女だった。
「何が一人だ、あのクソ女…!」
頼まれた喧嘩を終えた俺は近くの公園の水道で切れた口の中の血を吐き出していた。
『しつこい元カレをちょっと脅かして欲しい』
女の依頼は確かにそうだったのに、いざソイツの所へ行ってみるとどういうワケか3人の男がバットを持って待ち構えていた。
「てめえか、ユキを無理矢理自分のモノにしようとしてるって男は。」
訳のわからない因縁を付けられて、俺があの女の想像を遥かに越えたしたたかさに気付いた時にはもう遅かった。
始まってしまった圧倒的に不利な喧嘩にどうにか勝つと、俺は倒れている男…恐らく元カレとやらに向かって言った。
「俺はあの女にヤらせてやるからお前をボコれって頼まれただけの赤の他人だ。お前が何を吹き込まれたか知らねえけど、信じるには値しねえ女だぞ。」
親切にもそう言ってやったと云うのに、その男は血走った眼で俺を睨むだけだった。
女もクズなら男もバカか。
俺は呆れながらソイツの腹を一発蹴ってから帰った。