愛を知る日まで
この暴力に支配された異常な環境の中、まっとうに育つ子供がいるわきゃねえ。
ここでは“お友達”なんてものは皆無だった。
お互い、自分の身を守るだけで精一杯で他人を気にかける余裕は無い。
あるのはそいつが自分にとって得になるかどうかの打算だけ。
そしてそんな温かみの欠片もない関係の中でのしあがって行けるのは
金のあるヤツ、職員に上手く取り入ってるヤツ、そして強いヤツだけだった。
力のあるヤツにへつらった子分が出来、やがてグループになり派閥が出来る。
地獄に投げ込まれた子供達はそこで生きていくため更なる地獄を自分達で生み出していった。
派閥同士のいさかいが起き、何も持たない者は虐げられていく。
頼れるはずの大人も、分かり合えるはずの仲間も、ここには無かった。
そして天涯孤独で何も持たず、牙を剥く事をやめない俺は当然“虐げられる者”の立場だったが、幸いな事に俺には強さがあった。