愛を知る日まで
――夕暮れの園庭で、遊んでる子供たちを見ていた。
数日間だけの仲間としてそれなりに打ち解けグループで遊んでる奴もいれば、いつまでも一人ぼっちで居る奴もいる。
楽しそうなのは明らかに前者の方だ。
仲間って、友達って、そんなに良いものなのか。
それは俺の恋心を打ち砕いてでも押し付ける程に。
園庭の柵越しに一台の車が通り過ぎるのが見え、直ぐに園門の前で停まった。
やがて一人の女が玄関から出てくると、運転席にいた男が出てきて助手席のドアを開けた。
その二人の幸せそうなやりとりを、俺はただ立ち尽くして見ていた。
しばらくして、その車が動き出し再び園庭の横を通る。
刹那
助手席の真陽と、目が合った気がした。
どこか哀しそうな、瞳と。
…真陽。
俺は友達はいらない。
友達のあんたもいらない。
欲しいのは
恋人としての、櫻井真陽だけだったんだ。
オレンジの夕陽が滲んで見える程、眩しかった
夏の夕暮れ。