愛を知る日まで
初めて自分を情けないと思った
もう、真陽に会いたくない。
顔も見たくない。
手に入らない幸せを思い知らされた俺は、暗い部屋で一人きり、ただただこの想いを棄てようともがいていた。
期待した幸せが大きければ大きかった分だけ、傷は深く息の根が止まるほどに疼く。
大キライだ。大キライだ。大キライだ。
俺みたいな奴に優しくして期待させて。
こんなに心の奥にまで入り込んで来たくせに 、優しい顔をしてそれを拒む女。
誰より優しくして誰より残酷な女。
櫻井真陽なんかに出会わなければ良かった。
傷付く事に慣れていたはずの心はいつの間にかこんなにも無防備に曝されて。
俺はろくに飯も食えず、ただ部屋の隅で膝を抱えてこの傷みに耐えることしか出来なかった。
もう、ぬくもり園にも行きたくない。真陽と同じ場所に立ちたくない。
そう思っていた俺の元へ、一本の電話が掛かってきた。