愛を知る日まで
初めてだった。
こんな人生を歩んで来ながらも一度も思ったことは無かったのに。
初めて俺は『死にたい』と、思った。
きっと、真陽に恋した事で心が人並みに弱くなったのかもしれない。
もうこんな人生終わらせていいんじゃないかと。
俺が死んだとこで誰も悲しまないのに、と。
もう
意味も分からず生きていくのが辛いと思った。
蝉の声を聞きながら、俺はゆっくりと床に横たわって目を閉じた。
このままもう目覚めなければいいのにと思いながら。
傾きかけた陽が部屋に射し込み、閉じた瞼越しにさえ眩しいと感じて目が覚めた。
残念ながら死ぬことは叶わなかったようだけど、随分長く寝ていたようで時計の針は間もなく18時を指そうとしている。
フローリングの床で寝てしまったせいで痛む身体を起こしたと同時に、部屋のチャイムが鳴った。