愛を知る日まで
―――この日から、俺は真陽としばらく会えなくなる。
二人の関係がバレて、雉さんに「もう会ってはいけない」と咎められたからだ。
…どうして?どうして、なんで、絶対にイヤだ!!
俺はそんな残酷なコトを言う雉さんに電話で食って掛かった。
「イヤだ!!絶対にイヤだ!いくら園長の指示でもそれだけは聞けない!!そんな事になるくらいなら死んだ方がマシだ!!」
「柊くん、落ち着きなさい。この状況が明るみに出て苦しい思いをするのは櫻井さんなのよ?貴方は好きな人をそんな風に苦しめていいの?」
「ー~っ!!…じゃあ教えてよ…!俺はどうすればいいんだよ、どうすれば好きな女をちゃんとした恋人に出来るんだよ!
俺だって、真陽の浮気相手みたいなこんな関係イヤだよ!ちゃんと真陽が欲しい!教えてよ園長!
初めて…初めて好きになった女なんだ!真陽が欲しいんだ!ねえ園長、教えてよ!!」
がむしゃらに問い詰める俺に、雉さんは無言のままだった。電話越しにでも困っているのが分かる。
―――どうして、俺から幸せを奪おうとするんだよ。
せっかくこの手に堕ちてきた幸せが、消えそうな予感に俺はひたすらに歯向かってしがみつく事しか出来なかった。