愛を知る日まで
「昨日は結構乗り気だったのになぁ。どうしちまったんだよ。」
車を降りながら彰は、俺の肩を掴んで言った。
夜の公園の蒸し暑い中で、肩に乗せられた手は不快なほど温かかった。
「わりいな、昨日はどうかしてたんだよ俺。」
その言葉に彰がもう一度フーッと溜め息を吐く。
「残念だな、やっとお前とつるめると思ったのによ。俺、浮かれてお前のコト上に話しちまったんだよな。」
「そいつは悪かったな。けど、俺は極道に入る気はねえよ。」
一緒に車から降りた彰の子分達が、俺の両脇に立って着いた。
警戒を強めた俺に、彰がポンポンと肩を叩いて否めた。
「お前、欲しい女がいるって言ってたじゃねえか。どうすんだ?他にいい手でも見つかったのか?」
「……別に。何もねえよ。」
「だったら悪いコトは言わねえ。もう一度考え直せ。うちに来りゃあどうにでもしてやる。それ以外にお前みたいな何もねえガキが欲しいモノを手に入れる方法なんて無いんだからよ。」
彰の言ってるコトは真実かも知れない。
けれど。
肩に乗せられた手を俺が振り払うと、途端に子分二人がこちらへ掴み掛かろうとしてきた。けど、彰がそれを片手で制する。
俺は、彰の方を向き直して正面に立って見据えた。