『短編』秘密
ダッフルコートの悪魔
「あっ……」
思わず声が漏れてしまった。
「駄目だよ、声出したら。聞こえちゃうよ」
私に覆いかぶさりながら、まだあどけなさを残した青年は意地悪な笑みを浮かべ、さらに私を刺激した。
漏れてしまいそうになる声を堪えるために、自分の手の甲を噛む。
「耐えてる顔、色っぽいね」
垂れ下がる君の前髪が私の首元をくすぐるだけで、どうにかなってしまいそうだった。
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