『短編』秘密
職場の飲み会のあと、高山先生となんとなく一夜を共にしてしまった。
あの頃は、つき合っていた人とすれ違いばかりで、そのせいで自分より若い女に乗り換えられ、どん底だった。
あの日の私は泥酔していて記憶がところどころしかないのだが、ただ、まあ、いっか、とぼんやり思っていた。
正直、男なら誰でもよかった。
いや、この際もう女でもよかったと思う。
とにかく人肌恋しかった。
ぽっかり空いてしまった穴を一時的に埋めてさえくれれば、それでよかった。
だから、妻と小学生の子がある高山先生は、一夜限りの関係にはちょうどよかった。