『短編』秘密
ところが、自分の思惑どおりにはいかなかった。
都合のいい女が見つかったとでも思ったのだろう、高山先生はこの理科準備室でも私の肌に触れようとした。
さすがにそれは拒んだが、携帯の画像を見せられて抵抗できなくなった。
そこに映し出されていたのは、あの晩の私の痴態だったからだ。
なんとも下劣なやり方に怒りを覚えたが、やっとの思いで正規職員になれた私にとって、退職は考えられなかった。
上司に訴えることも、できなかった。
どちらかが異動するまでの我慢だ、と思い、その後は高山先生にされるがままだった。
校内で教師同士が……というシチュエーションに高山先生が興奮しているのがありありとわかって、引いた。
一夜限りの快楽の代償は、あまりに大きかった。
こんな男に一度でも心を許してしまった自分が腹立たしく、情けなくて仕方なかった。