もう泣かないよ
「ありがと、海!」奏太は箱を開けた。「海、左手出して」
私は、左手を出した。
「婚約指輪だ」
私の薬指に指輪をはめながら、奏太が呟いた。
婚約指輪、その言葉が、私の胸に響く。なんだか、幼い頃のことを思い出すような響き。くすぐったい。
「すごい!綺麗な指輪!!」
奏太が買ってくれた指輪は、ダイヤモンドのはめられた指輪で、それはそれは綺麗だった。
「これ、一生宝物にする!」
私の言葉に、奏太は照れたように笑った。
「これからも、よろしくな」
私は大きく頷いた。