もう泣かないよ
キスが終わってから、奏太が着替え始めた。
「なぁ、俺だいぶ日焼けしたと思わない?」
「海の男って感じする!」
私が言うと、奏太はニヤッと笑って。
「どっちの海?お前?それとも、生命の母の海?」
…どっちでも当てはまると言えば、当てはまるんだよねぇ。
ってゆぅか、なんでこんな紛らわしい名前つけられちゃったの、私?!
「…さぁ、どっちでしょうか」
私の言葉に、奏太は唇を尖らせた。
「なんだよ、意地悪だなぁ…」
「いつもの仕返し」
「俺、なんかしたか?」
…とぼけた顔がかわいい。
私は「とぼけないでよ」と言いたかったのに、その言葉はフッと掻き消えた。