もう泣かないよ



 私は電話を切った。

 なんだかよくわかんないけど、急いで帰らないと。

                ★

 家に着くと、ドアに【臨時休業】というプレートがかかっていた。

 な、なんじゃあこりゃ。

 私は裏口に回って中に入った。

 中ではお父さんとお兄ちゃんがにらみ合っていて、美里が困ったような顔で二人を見比べている。

「ど、どうしたの??」

 私が聞くと。

「海は親父のじゃねぇんだから、嫁にいかせてやれよ!」

「海は俺が男手ひとつで育てたかわいい娘だぞ!?」

 私の結婚の話で盛り上がってるの!?

「お、お父さん…?お兄ちゃん…??」


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