もう泣かないよ


――男だっていうなら、海まで来い。

 俺は起き上がった。

 空耳なんかじゃない!

 健太が、本当に俺を、呼んでんだ。

 俺はガウンを羽織って、病院から出た。

 江の島病院から出るのは簡単で。

 窓の外にシーツを垂らして、そのシーツから滑り降りればオッケイだ。

 病院から歩いて五分で、港が見えた。

 あの雨のせいか、水位が高い。

 俺は、海の中を覗き込んだ。


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