もう泣かないよ
★TWO★
★総合病院
スマホの鳴る音で、私は起きた。時間は、夜中の三時。
「はい?」
電話だったから、私は通話ボタンを押した。
『海!?大変なの!奏太が、海に落ちたって!』
私の手から、スマホが滑り落ちた。
『海!?聞いてる!?ねえ!』
電話をかけてくれた、美里の声に返事をする余裕もなかった。
奏太が、海に落ちた―――?
一昨日かわした約束が、脳裏によみがえる。
婚約した、ばかりなのに…。
どうしてなの?