もう泣かないよ



 私は美里に連れられて、奏太の病室の前まで向かった。

 病室のドアには、看護婦さんがいた。

「奏太の、容体は…?」

 看護婦さんに聞いているのは、奏太のお母さん。

「五分五分です…」

 看護婦さんが答える。腹の下が、冷たくなっっていく―――。

 奏太のお母さんでも病室に入れないところを見ると、重体かもしれない。

 奏太のお母さんが、泣き崩れた。

「あの子は、恋人にプロポーズしてたんです…。自殺なんかする筈がないわ―――」

 その言葉に、私の目からも涙がこぼれた。


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