もう泣かないよ
医者が悪くないことは知ってる。
でも、誰かを責めてないと、自分でいられなくなるような気がした。
「海」
お兄ちゃんの声で、私は口を閉ざした。
「オマエの気持ちもわからなくはない」
「お兄ちゃんに、何がわかるの!?恋人を亡くしたことなんか、ないくせに!」
「だけど、大切な人を失った苦しみは、俺だってわかってる!」
「…」
――ありがとう。
その言葉を聞いたのは、今日が初めてじゃない。
前にも、一度ある。