もう泣かないよ
ツーショット写真の中には笑顔の海と奏太が写っている。
「本当に奏太、海のことが好きだったのね…」
私が言うと、頼は「あぁ…」と小さく言った。
「奏太が海にプロポーズしたとき、本当に嬉しかったな…」
私は頷いて、「その気持ち、わかる」と答えた。
「…そろそろ、俺たちも戻るか」
頼はそう言って、部屋を出て行った。私も後を追おうとして、気付いた。
部屋に何か転がっている。
何だろう?
それは、携帯だった。
奏太は携帯を二台持っていて、そのうちの一台は実家に置きっぱなしだったみたい。
私は、携帯を拾い上げた。海に、渡してあげよう。