もう泣かないよ
★THREE★
★花火大会
赤、青、緑。
いろんな光が闇夜を明るく照らした。
大きな音が静寂を打ち破る。
八月、私は江の島花火を見に来ていた。たった一人で。
去年まで隣にいてくれた奏太は、もういないから。
私はため息をついた。元気を出さなきゃ、ってことはわかってる。
でも、どうしても元気は湧かなくて。
「海」
名前を呼ばれて振り向いた。
「あ」
私は声を上げた。私の後ろに立っていたのは、幸助だった。