もう泣かないよ


 美里SIDE

 私は携帯電話を見ていた。

 私のじゃなくて、奏太の。葬式の日に見つけた携帯。

 あの日の新着メールが気になって、私はその前のメールを読むことにした。

 メールには友達からのも奏太本人からのもある。でも、海からのメールはなかった。たぶん、持ち歩いてた携帯には入ってたんだろうなぁ。

「ん?何コレ」

 奏太本人が送ったメールはメールってより日記だった。

『今日もアイツがいる。まだ海のあとをつけまわってるのか?』

『頼むから、もうついてくるのはやめてほしかった。二人きりでいたいのに』

 私は、奏太が海にプロポーズした日のメールを見つけた。

『とうとう家にまで来やがった。もう俺たちの邪魔はしてほしくないのに』

 それから、奏太が死んだ日のメール。このメールに、全ての真実が記されていた。

 海に言うべきなのかな。花火を見ている海の背中を見ながら私は迷った。

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