もう泣かないよ
★心の中に
「お父さん」
私はしばらく休んでいた仕事に復帰した。
「なんだ?」
「心配かけてごめん」
私の言葉に、父さんは笑った。
「オマエがげんきで安心したよ」
「…あとで、話があるの」
私の言葉に父さんの顔から笑顔が消えた。
「―――わかった」
私はその返事にホッとしながら仕事に戻った。
もう、店に奏太が来ることも、お客さんの皆と奏太の噂話をすることもできない。
その事実が今、実感を持って私に迫ってきた。
奏太がいない、それを本当の意味で理解した途端、背化は色あせて見えた。