もう泣かないよ
★自信あるよ
翌朝、目を覚ますと時計は午前十時を示していた。
げ…店開ける時間過ぎてる!と思ったところで私はハッとした。
今日は定休日だった。
奏太が死んでしまってからは時の流れを感じなくなってしまって、曜日感覚も時間感覚も狂い始めていた。
「海、そろそろ起きなよ」
ドアをノックする音、それからお兄ちゃんの声。
「うん」
私はタンスから服を出した。手前にあった服を適当に掴んで、それからその奥にある服を取り出してしまったのは、最初に掴んだ服が、奏太にもらった服だったから…。
奥にあった服は奏太と行ったデートで買った服。
どの服にも、奏太との思い出がたくさん詰まっていて、なんで今日、こんな気持ちになってしまったのかわからなかった。
昨日、幸助にドキッとしたあとから、忘れかけていた悲しみが何倍にもなって返ってきたような、そんな気がするんだ…。