もう泣かないよ
★
午後八時、デートが終わって、私と奏太は無事に奏太の家に着いた。
奏太は、一人暮らしをしていて、アパートに住んでいる。
「ぅわ、また派手に散らかしたねェ」
私が言うと、奏太は私の髪をくしゃっとした。
イケメンで優男の奏太の唯一の欠点を上げるなら、整理整頓ができない点だ。
「俺は片付けが下手なんだ!」
前に来たのは、三週間前?あんときは、せいぜい本棚の本が落下してただけだった。
なのに、今は台所も荒れ放題だし、足の踏み場もギリギリだし。
……唯一、ベッドの上だけは綺麗。
これは、環境汚染だぁぁぁ!
「…なんだよ、文句あるか?」
奏太が、拗ねた口調で。
「別にぃ。ただ、ごはんどうしようかなぁ…みたいな?」