もう泣かないよ



 幸助の働いている店は本日もまた閑古鳥の鳴き日和…って、言っちゃダメか。

 けど、ホントに誰もいなかった。

 その場にいづらそうな店員さんたちが頬杖を突いたりしながらボケーッとしてる。

「…幸助?いる?」

 そっと聞くと、奥のレジにいた幸助が駆け寄ってきた。

「早かったね!」

 早く来ちゃダメだったかな?

 私が無言でいると

「早くあえて嬉しいよ!」

 幸助が私の手を握った。

「おい幸助、彼女か?」

 他の店員さんたちがはやし立てる。

「違いますよ、彼女候補!」

 幸助が笑いながら言って、他の店員さんたちは声を立てて笑った。

 なんだかいづらくて私は

「幸助、行こう」

 幸助の腕を引っ張った。

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