もう泣かないよ
★しばらくは
翌朝、幸助の仕事先に行くと、幸助はいなかった。
「あの…すみません」
店員さんの一人に声をかけた。
「はい、なんでしょう?」
とびきりの営業スマイルを浮かべて聞いてくれた店員さんに私は
「遠藤幸助…さん、いますか?」
と尋ねた。
昨日、美里に聞いたあの話が、嘘だったのか本当だったのかを本人に確かめたかったから。
「あぁ、幸助なら警察に行きました。自首するそうです」
私は耳を疑った。
「け、警察…って」
「あれ?…あなたって幸助の恋人ですよね?何もきいてないんですか?」
そう言われて私は俯いた。
「聞いて…ないです」
「そうですか」
そのとき、違うレジにいた店員さんが私の所まで来て
「あの、失礼ですが海さんですか?」
そう聞いてきた。